半導体研究者 芝原健太郎(Kentaro Shibahara)|プロフィール

Kentaro Shibahara (1960-2011)

芝原健太郎は、半導体物理、半導体デバイスおよび半導体プロセスを専門とした研究者です。京都大学大学院ではSiC半導体1の研究に従事し、世界で初めて反転型SiC-MOSFET2の作製および動作実証に成功3しました。さらに、ステップ制御エピタキシー4を実現し、この成果によりSSDM賞5を受賞しました。

その後、NECにて高集積DRAMなど6の研究開発を経て、広島大学7では主にシリコン半導体分野でデバイス物理および微細化プロセス技術の研究に取り組みました。同時に、IEDM8やVLSIシンポジウム9、SSDM10など、半導体分野における主要国際学会においてプログラム委員や専門部会委員長(Chair11)などの要職を広く歴任しました。これらの研究活動および学術的貢献を通じて、当該分野の牽引と発展に尽力しました。2011年、逝去に際してはその功績を称え、VLSIシンポジウム開会式にて追悼の時間が設けられました。

また、先端CMOSデバイス分野における標準的教科書タウア・ニン最新VLSIの基礎12の監訳を手がけ、教育にも寄与しました。

  [研究業績紹介(SiC)] / [研究業績紹介(Si)] / [学術・産業界における活動] / [研究業績] / [出版] / [受賞] / [”タウア・ニン”監訳エピソード]
※ 「柴原健太郎」と表記されることもありますが、正しくは「芝原健太郎」です。

━ 関連リンクと研究キーワード ━

学術・産業界における主な活動はこちら

・IEDM、VLSIシンポジウム、SSDM、ITRS国際ロードマップ委員会、応用物理学会等における活動など


外部リンク・資料

・[KAKEN 芝原健太郎] (国立情報学研究所)
[CiNii Research(芝原健太郎)](国立情報学研究所)
・[J-GLOBAL — 芝原 健太郎 (広島大学/(京都大学)/(NEC/] (科学技術振興機構)
・[IEEE Xplore – Kentaro Shibahara(1997-2008の一部)]
広島大学 大学院先端物質科学研究科13 研究年報 [既刊研究報告 2002年~2011年]
広島大学 半導体産業技術研究所14 年報(ARR) [2008〜2009年] [2009〜2010年

研究キーワード

① SiC結晶成長・デバイス応用
SiC結晶成長オフ基板によるAPD制御反転型SiC-MOSFETステップ制御エピタキシー

② 高速・高集積半導体デバイス
GaAs高速FET・集積回路/高集積DRAM

③ シリコンCMOS微細化・次世代デバイス
極微細MOSFETイオン注入極浅接合形成メタルゲート仕事関数制御Ge-MOSFET

━ 教育活動(広島大学) ━

担当していた授業科目
学部(学士課程):「論理システム設計」
大学院(博士課程前期・後期):「LSI集積化工学」「集積回路・プロセス演習」
研究・学位指導
学部の卒業論文指導、大学院の学位論文指導(博士課程前期・後期)15

━ 略    歴 ━

1960年    神戸市生まれ
1985年    京都大学大学院博士前期課程 電気工学第二専攻 修了
1988年    京都大学大学院博士後期課程 電気工学第二専攻 修了(工学博士)

1988年~1995年1月 日本電気株式会社(NEC) 勤務

1995年2月   広島大学集積化システム研究センター助教授
1995年5月   ナノデバイス・システム研究センター(ナノデバイス研究所)発足に伴い同センター助教授
2007年4月   同センター准教授
2008年5月   ナノデバイス・バイオ融合科学研究所(RNBS)(現 半導体産業技術研究所(RICE))発足に伴い同研究所准教授

2011年4月21日  逝去(同年6月 VLSIシンポジウム開会式にて追悼)

  1. SiC半導体:現在はSiCパワーデバイス(シリコンカーバイド・パワー半導体)とも呼ばれている。当時は黎明期であったが、 ステップ制御エピタキシーによって実用化が可能となった。
    従来のシリコン半導体に比べて 高温環境や高電圧条件でも安定して動作し、電力損失を大幅に低減できる半導体。 機器の小型化・軽量化や省エネルギー化に直結し、持続可能な社会のインフラを支える。
    電気自動車(EV)に不可欠で、再生可能エネルギーシステム、産業機器、データセンター などで用いられる。現在すでに大量生産され、市場は年々急速拡大している ↩︎
  2. 反転型MOSFET:電流を遮断できる性能をもつMOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)のこと。MOSFETを実用化するうえで、もっとも基本となる性能のひとつ。反転型SiC-MOSFETはSiC(炭化ケイ素)でできた反転型MOSFET ↩︎
  3. 世界初のMOSFET:世界で初めて作製し動作確認された反転型SiC-MOSFET (1986年).今日のSiCパワーデバイスの先駆けで、当該分野の大きなマイルストーン
    反転型SiC-MOSFETとは、電流を遮断できる性能をもつMOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)のこと。MOSFETを実用化するうえで、もっとも基本となる性能のひとつ →「世界初の反転型SiC-MOSFET動作実証― IEEE EDL掲載」はこちら/ 「松波弘之名誉教授が語る」はこちら  ↩︎
  4. 「ステップ制御エピタキシー」stepcontrolled epitaxy「ステップ制御エピタキシャル成長法」(step-controlled epitaxial growth)のこと。基板上に欠陥の少ない鏡面状の結晶膜を成長させる方法。 高耐圧・低損失が求められる高性能SiCパワーデバイスの製造に必須の基盤技術。 この技術によって電気自動車や電力機器に使われるSiCパワー半導体が実用化された。→ [証言記録 ステップ制御エピタキシー 黒田尚孝氏と芝原健太郎による実現] ↩︎
  5. SSDM Awardを受賞:SSDM Award 2005. 受賞者は黒田尚孝、芝原健太郎、Woo Sik Yoo、西野茂弘、松波弘之の5名(敬称略). SSDM Award2005は、1969年に開催された第1回から2000年までの間にSSDM(注7)で発表された論文の中から、年に1件だけ表彰されるたいへん名誉な賞 → [受賞] → [ステップ制御エピタキシー実現でSSDM賞を受賞] ↩︎
  6. 高集積DRAMなど:超高速デジタルGaAs系FETや高集積DRAM。GaAs FETも重要な研究対象だった ↩︎
  7. 広島大学:現在の 広島大学半導体産業技術研究所(RICE)(それまでの名称は略歴を参照)及び大学院先端物質科学研究科. ↩︎
  8. IEDM:毎年12月に米国で開催される、半導体デバイス・プロセス技術分野におけるTop-tier(最上位の格付け)の国際会議.同分野で最も長い歴史を持ち、世界中のトップ企業や大学が最先端の成果を発表する中心的な場→ [学術・産業界における活動 はこちら] ↩︎
  9. VLSIシンポジウム:毎年6月に日米交互で開催される国際学会。上記の「IEDM」と並び、半導体デバイス技術分野におけるTop-tier(最上位の格付け)の二大国際会議の一つ.世界中の主要な企業や研究機関から最先端の技術成果が集まる発表の場. ↩︎
  10. SSDM:毎年日本で開催される、半導体デバイスおよび固体材料に関する国際学会.上記2つのTop-tier会議に次ぐ、同分野におけるアジア地域最大級かつ屈指の歴史を持つ国際会議. ↩︎
  11. Chair:Chair of the CMOS Devices / Device Physics Subcommittee ↩︎
  12. 『タウア・ニン最新VLSIの基礎』: 先端CMOSデバイス分野における世界的標準教科書であるFundamentals of Modern VLSI Devices, Y. Taur and T. H. Ning)の**日本語版。[出版 はこちら] / [”タウア・ニン”監訳エピソードはこちら] ↩︎
  13. 広島大学 大学院先端物質科学研究科:現在は広島大学先進理工系科学研究科 ↩︎
  14. 広島大学 半導体産業技術研究所:これらの年報発行時は、広島大学ナノデバイス・バイオ融合科学研究所 ↩︎
  15. 大学院の学位論文指導(博士課程前期・後期):大学院の学位論文指導(博士課程前期・後期):広島大学の公開資料から、2008~2010年度の修士論文について、指導教員または副指導教員としての関与が確認できる。研究題目には、high-kゲートスタック、Geへのイオン注入、ゲートスタック構造などに関するものがある。
    広島大学在籍末期には、山下朋弘氏、川崎洋二氏、西田征男氏らの学位研究を指導した。これらの研究では、Niフルシリサイド・high-kゲート、イオン注入、MOSFETのしきい値電圧など、芝原の研究テーマに直結する研究が行われた。芝原の死去後は、一部の学位研究が横山新教授に引き継がれた。 ↩︎

編集履歴:2026年4月紹介文挿入・変更、英語併記、キャプション追加、略歴表記法変更、略歴に研究分野追記、英語ページ作成、英語併記削除、 5月主な研究領域キーワードと公的データベース掲載、5月30日研究キーワード修正・追加、写真置換、6月6日データベース追加、キーワード修正、7月キーワード編集、内部リンク編集、注釈掲載、8月「教育」項目追加、注釈追加