SiC半導体の研究業績紹介(Research Achievements in SiC Semiconductors)

SiC半導体の研究業績紹介(Research Achievements in SiC Semiconductors)

(a)球面研磨された基板上に成長させた結晶被膜の写真 (b)基板上位置図 (c)位置とオフ角の関係に関する模式図
球面研磨を施した Si(100)基板上に 3C-SiC 薄膜結晶を成長させた試料の写真

球面研磨を施した Si(100)基板上に 3C-SiC 薄膜結晶を成長させた試料の写真

Si(100)面ジャスト(試料の中央部)上ではSiC表面が荒れるのに対し,(100)面から[011]方向に数度傾けた面上では表面の平坦な SiC 層が得られることを初めて見出した.この現象を,SiC 成長層中における APD(Anti-Phase Domain)発生の有無によることを結晶学的に解明した1(1986年/1987年APL掲載).

【出典】 K. Shibahara, S. Nishino, and H. Matsunami, “Antiphase-domain-free growth of cubic SiC on Si(100)”, Appl. Phys. Lett., 50 (1987) 1888-1890.[DOI: 10.1063/1.97676]
芝原健太郎、西野茂弘、松波弘之「Si基板上へのSiCヘテロエピタキシャル成長」日本結晶成長学会誌, 13巻4号 (1986) 226–232. [DOI: 10.19009/jjacg.13.4_226]
【関連資料】[→研究会資料「Si基板上β-SiCに関する諸話題」(1986年4月)]
【資料】CVD装置と結晶成長(説明図と動画) / 1986年研究会資料( RHEED)

Si(100)基板上に3C-SiC(100)がエピタキシャル成長する際に起こるAPDの生成機構を説明する模式図

Si(100)基板上に3C-SiC(100)がエピタキシャル成長する際に起こるAPDの生成機構を説明する模式図.

Si 基板表面の原子ステップの高さにより,APD(Anti-Phase-Domain)が発生しない場合((a))と発生する場合((b))が存在することを提案した(1986 年).

【出典】 K. Shibahara, S. Nishino, and H. Matsunami, “Surface-morphology of cubic SiC(100) grown on Si(100) by chemical vapor deposition”, J. Crystal Growth 78 (1986) 538-544.[DOI: 10.1016/0022-0248(86)90158-2]

反転型MOSFETの断面模式図2

 反転型MOSFETのドレイン電流-電圧特性

図:Si(100)基板上に成長した 3C-SiC(100)薄膜結晶を用いて作製した反転型MOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)の断面模式図およびドレイン特性.

Bドーピングによる低濃度p型SiCの成長,Pイオン注入による低抵抗n型領域(ソーズ、ドレイン)の形成,熱酸化による良質な SiO2/SiC界面の形成など多くの技術を集約してSiC MOSFETが作製された.これは世界初の反転型SiC MOSFETとして当該分野の大きなマイルストーンとなっている(1986年).2001年以降,当該分野では 3C-SiC MOSFETのチャネル移動度が高いことが話題になっているが,1986 年,既に 100cm2/Vsを越えるチャネル移動度を報告している.
【出典】 K. Shibahara, T. Saito, S. Nishino, and H. Matsunami, “Fabrication of inversion-type n-channel MOSFETs using cubic SiC on Si(100)”, IEEE Electron Device Lett., 7 (1986) 692-693.[DOI: 10.1109/EDL.1986.26522]
【関連記事】[→世界初の反転型SiC-MOSFET動作実証ーIEEE EDL 1986]
【関連記事】[→松波弘之が語る「世界初の反転型SiC-MOSFET実現と芝原健太郎」]
【関連文献】[学位論文(1987年)]
【関連資料】[→研究会資料「Si基板上β-SiCに関する諸話題」(1986年4月)]
【資料】CVD装置と結晶成長(説明図と動画) / 1986年研究会資料( RHEED)

6H-SiC(0001)基板にオフ角を導入することにより、高品質 6H-SiC のホモエピタキシャル成長を初めて実現した
「ステップ制御エピタキシー」(ステップ制御エピタキシャル成長法)
今日の SiC パワーデバイス実用化の出発点となった. この研究業績に対して SSDM Award が 2005 年に授与された.

【出典・受賞対象】 ”Step-Controlled VPE Growth of SiC Single Crystals at Low Temperatures”
[1987年SSDM論文(全文)] ( https://doi.org/10.7567/SSDM.1987.C-4-2 )
【関連記事】[→証言記録:「ステップ制御エピタキシー」]
【関連記事】[→ステップ制御エピタキシー実現までのSiC研究]
【関連記事】[→SSDM賞受賞]
【関連文献】[学位論文(1987年)]

【関連資料】1986年研究会資料(結晶成長 / RHEED)
【資料】CVD装置と結晶成長(説明図と動画)

(a) 天然(0001)面および(b) オフ方位基板上の成長層の表面形態
(a) well oriented (0001) 面上の双晶3C-SiC成長、(b) off oriented (0001) 面上のホモエピタキシャル成長のモデル

6H-SiC(0001)ジャスト面上では双晶境界の存在する 3C-SiC,6H-SiC(0001)オフ面上では表面の平坦な高品質 6H-SiC 結晶が成長する(ステップ制御エピタキシー).

各々の場合のSiC 成長結晶表面の顕微鏡写真,および成長メカニズムを説明する模式図(1987 年).

 6H-SiC(0001)オフ面上に成長した高品質 6H-SiC 結晶を用いて作製したメサ形 pn ダイオードの断面模式図と電流―電圧特性

6H-SiC(0001)オフ面上に成長した高品質 6H-SiC 結晶を用いて作製したメサ形 pn ダイオードの断面模式図と電流―電圧特性(1987 年).

結晶の品質が高いため,当時としては例外的に優れたデバイス特性を示した.

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SiC 結晶評価のために行った反射高速電子線回折(RHEED)像の例
視認性向上のため着色しています

SiC 結晶評価のために行った反射高速電子線回折(RHEED)像の例.

【関連資料】[研究会資料「RHEEDー基礎的理論と応用例」1986年

ーーーーーーーーーー参考資料ーーーーーーーーーー

世界初 反転型SiC MOSFETの断面模式図
CVD装置(気相エピタキシャル結晶成長装置)の説明図1986年SiC MOSFET作製ではSi(シリコン)基板が用いられた3
CVD装置とSiC薄膜結晶成長の説明動画
博士課程時代の芝原がCVD装置を用いたSiC薄膜結晶成長を説明している動画4。京都大学松波研究室に当時あったCVD装置(気相エピタキシャル結晶成長装置)を見ることができる
気相エピタキシャル結晶成長装置(CVD)反応管5 各名称や役割は前後の図を参照
SiC(炭化ケイ素)基板を用いた場合の気相エピタキシャル結晶成長6(ステップ制御エピタキシーでは6H-SiC(0001)オフ基板の上に6H-SiC薄膜結晶を成長させた)
6H-SiC基板上への6H-SiC結晶成長(動画):アチソン基板斜め研磨方法、成長の温度プロファイル、境界層の反応種の輸送 、基板上での吸着、脱離 、pn接合の電流電圧特性、発光スペクトル、青色発光機構が写真と図で説明されている動画7です


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注釈

  1. 【出典】 K. Shibahara et al., “Antiphase-domain-free growth of cubic SiC on Si(100)”, Appl. Phys. Lett., 50 (1987) 1888-1890.[DOI: 10.1063/1.97676] ↩︎
  2. 反転型MOSFETの断面模式図:当ページの「参考資料」を参考 ↩︎
  3. 世界初の反転型SiC-MOSFETはSi基板上に作製された:反応管の中で、シラン(SiH4)とプロパン(C3H8)を反応させ、、Si基板の上にSiC薄膜結晶を成長させる. ディボラン(B2H6)とフォスフィン(PH3)はドーピングガス. ガスによって不純物を添加し、電気的性質をコントロールする. ↩︎
  4. 動画「テクノピア新しい半導体材料」:1986年前後の時期に三田工業㈱が製作していた動画シリーズ。三田工業は1998年に事実上倒産し、現在は京セラドキュメントソリューソンズとなっている。著作権は当時作製した三田工業に著作権があったが、京セラドキュメントソリューションズでは動画の存在も著作権所有も確認できないとのことであった。㈱京セラでも同様の状態であったため、京セラ広報部と相談の上、一部を掲載することとした。動画提供は西野茂弘元京都工芸繊維大学教授 ↩︎
  5. CVD装置反応管:これは1980年代後半、京都工芸繊維大学西野研究室で使用されていた反応管。芝原が当時使っていた京都大学松波研究室の反応管はこのページ内資料動画の中で見ることができる。 ↩︎
  6. ステップ制御エピタキシーでは、SiC基板の上にSiC薄膜結晶を成長させた. この技術は今日のSiCパワーデバイス実用化を可能にした.  反応管の中で、シラン(SiH4)とプロパン(C3H8)を反応させ、SiC基板の上にSiC薄膜結晶を成長させる. ディボラン(B2H6)とフォスフィン(PH3)はドーピングガス.ガスによって不純物を添加し、電気的性質をコントロールする.  ↩︎
  7. 動画6H-SiCの結晶成長:西野茂弘元京都工芸繊維大学教授作製 ↩︎